注射で痛いといわれない看護師に

注射の際に針をうまく刺せない、患者からよく痛いといわれてしまう問題を抱えている看護師も少なくありません。皮膚の痛みというのは、皮下に多数ある侵害受容器が痛みの刺激を受け、脳にその信号を送ることで生じます。正常な反応の場合、侵害受容器への刺激がなくなれば、痛みはすぐに消滅するため、侵害受容器のある皮下をできるだけ早く通過するのがポイントです。そのため、注射針を刺すときには、すみやかに針を進めることが大事です。
また、血管の位置や針を刺す角度に注意する必要もあります。静脈注射などのために針を刺せる部位は、比較的限られています。その部位の静脈と動脈、神経の走行を確認しておくことが大切です。肘正中皮静脈と肘側皮静脈のすぐ下には、上腕動脈と正中神経が走行しています。また、前腕の外側と内側には、それぞれ神経が走行しています。静脈をはずれて動脈に針を刺してしまうと、大量出血の可能性があるので注意が必要です。また、神経を刺してしまうと、神経の支配領域に痛みや感覚異常などが起こる可能性もあります。動脈を刺したり、神経損傷を防ぐために、各静脈と神経が走行しているおおよそのイメージを持っておくことが重要です。
そして、神経は静脈よりも深部に位置していることが多いため、針を刺すときには、10から20度の角度が推奨されています。しかし、10から20度というのは、イメージよりも角度が浅いため、皮膚に沿わせる程度の角度で刺すのがコツです。角度がつきすぎてしまうと、患者から痛いといわれる原因になるので注意が必要です。